WIRED.jpのKevin Kellyとの対談ビデオは本当に素晴らしいので見るべき
WIRED.jpが年末から、ケヴィン・ケリー(Kevin Kelly)氏とのインタビュー対談ビデオを公開しています。
これ、全7回中、全5回まで公開されたのですが、本当に素晴らしい対談。
なのに、ビューアーがあまりにも少ない!こんなに素晴らしいのに勿体無い!WIREDもっと宣伝すべきじゃないの?!もっと多くの人に見てほしい!と思ったので、ここで紹介してみます。(WIREDから何かもらっているわけではないのであしからず。。)
5分程度の動画が5本公開されています*1。とはいえ、全部なんで見れないし、どんなこと話してるのさ、とせっかちな方のために、サマリポイントをまとめてみました。
ただし、本当に素晴らしいことをお話しているので、ぜひ自分の目で見てみることを強くおすすめします。
この時点で「え、ケヴィン・ケリー?よし全部見る」って方は、以下はみなくて結構です。本記事の目的はそれで達成しているので。
ケヴィン・ケリー(Kevin Kelly)氏とは
ご存知、「THE INEVITABLE」(邦訳『<インターネット>の次に来るもの』NHK出版刊)の著者です。
この本は、本当に思慮深くて、いろんなことを考えさせられます。2年前にこの本を読んで、”自分は間違っていないから、この最先端のエッジな場所に自分の身を置き続けよう”と決心しました。
この本では、12の不可避(Inevitable)なデジタルでの潮流を紹介し、未来を予測することは難しいが、それらデジタルの不可逆な流れをたどればこれから確実に起こる未来を予測できるはず、といったことを述べています。
その12個の「これからインターネットに起こる『不可避な12の出来事』」とは下記のとおり。これだけ見ても何のこっちゃいな、だと思うので、興味のある方は、原本を読むか、他の方の書評ブログを参照してください。私は原本を一読することを強く勧めます。
- BECOMING なっていく
- COGNIFYING 認知していく
- INTERACTING 相互作用していく
- ACCESSING アクセスしていく
- SHARING シェアしていく
- SCREENING スクリーンで表現していく
- FLOWING 流れていく
- TRACKING 追跡していく
- REMIXING リミックスしていく
- FILTERING フィルターしていく
- QUESTIONING 疑問を生んでいく
get WIRED:ケヴィン・ケリーとの対話
今回のシリーズは現在、全7回中全5回まで公開されているので、それぞれの回の、Youtubeリンク、WIRED記事リンク、自分が特に心に残ったポイントを記載します。
正直、WIREDの記事は抽象的すぎてわからないので、、ポイントから気になる回の動画を見るのもありかも。もしくは動画だけでもいいと思います。
Ep1:ケヴィン・ケリーが語る、いまこそ楽観主義が必要な理由
- ど真ん中にいながらエッジを追いかけるには、楽観主義である必要がある
- イノベーションは楽観主義から生まれる
- 科学的技術に目を向けると、テクノロジーのおかげで世界はよくなっている
- ネガティブすぎるニュースは見ないこと
Ep2:未来はディストピアか? ユートピアか?
- 新しいテクノロジーは無尽蔵に問題を生み出す。
- でも、その解決も新しいテクノロジーから生まれる
- テクノロジーをどんな特徴にするかは決められるが、作った人ですらわからない
- 受け入れて使ってみないとわからない、エビデンスがなければならない
- だから時間がかかる
- 未来をどう見るかは、過去をどう見るかに依存している
- プロトピアン:プログレス(進歩)していて、少しずつだけどよくなっていっている
Ep3:生命とは情報なのか?データの神がとって代わるのか?
- 人間は自分に対する理解が乏しい
- みな同じだと思っていることは、実は人によって異なる
- 自分だけの「正常」な状態がある、だからデータをとる
- It from bit(すべては情報から生まれれる)という考え方
- 知能は無限ではなく限界がある、この宇宙に無限はない
Ep4:気候変動を解決するには100万人の力が必要
- スーパーマインド:人間のマインドそのものをコラボレーションする
- そのためのマインドコンピューターインターフェース、マインドを直接つなぐ
- サイケデリクス(幻覚剤)でのアプローチも出現している
- ブロックチェーンは有益になる、が何に有益かがまだはっきりしない
- テクノロジーというのは得てして発明者が意図したとおりに使われない
Ep5:アメリカと中国、自由か幸福か?
- 中国はテクノロジーで生活を幸せにしている、自由が保証されたアメリカとは対照的
- セサミクレジットの出現、しかしそれは監視ではなく、クレジットカードの信用がない中国で初めての信用評価だった、中国なりのやり方である
- 中国は平均的に見れば非常に豊かになっている
- 一方で精神面での価値観が定まっていない
- その解決策の一つとして、マナーの悪い行為を防ぐためにお互いに監視する監視システムをつくった、そしてそれは裕福になっているから受け止められた
- お互いに監視するけど、世の中が良くなるという取引
自分が一番印象的だったもの
個人的に一番印象的だったもの(そしてこのシリーズを知るきっかけとなった)のは、Ep5:アメリカと中国、自由か幸福か?です。
少し前にこんなブログを書きました。
maato.hatenablog.com大学生からは「監視されるのではないか」「自分がコントロールされるのではないか」という不安を感じたけれど、一方で実は我々はそのような社会システムから恩恵も得ているのではないかという考えもできるのではないかと思った、と書きました。
また先週金曜日には、とあるセミナーの帰りに情報銀行についてTwitterのフォロワーとこんな議論をしました。
ですよね。自分のデータを自分でコントロールて、結構ITリテラシー求められるでしょうし、情報格差が加速するかもしれません
— maato (@maato) January 18, 2019
もしかしたらGAFAとかに支配されてたほうがある意味楽で幸せなのかもしれません
なんか矛盾してきますが、、
監視ではなく、AIやデータによってうまく社会が回るシステムができていて、それを国が認めるならば、むしろそれは幸せなんじゃないだろうか、という考えもしました。
最近ではセサミクレジットは日本でも通用するのではないか、という議論も出てきました。
一方で、今日のCCCの、Tカード利用者の会員情報や利用履歴を令状なしで捜査機関に提供していたことに対する、消費者の圧倒的ネガティブ反応を見ると、ただでさえ他人の目を気にしすぎて疲れ切っている日本では、ちょっと根付かないのかなあと気もしてきます。(CCCは「社会貢献のため」、といっているので、もしかしたら中国社会の考えに近い、のかも(本当?))
この議論はまた別途したいし、私の考えも今度書いてみたいです
最後に
ちょっと脱線しましたが、とにかくこのWIREDの、ケヴィン・ケリー(Kevin Kelly)氏とのインタビュー対談ビデオは本当におすすめなので、特に何らかの形でテクノロジーに関わっている方は、ぜひ見てみてください。
https://twitter.com/maato/status/1086251891510566912
https://twitter.com/maato/status/1086251891510566912
*1:1/21現在、全7回中、全5回まで公開されているので、後2回も公開されたら追記しようと思います。