maato’s blog

興味のあることや、これはと思ったことをゆるく情報発信していきます。本ブログで述べられている意見は、私自身の意見であり、所属する団体、企業の見解を反映したものではありません。

アーリーアダプターとの付き合い方

今日新卒2−3年目ぐらいの若い社員の方に、製品Business Development(BD)というロールは何をする職種ですか?と聞かれたので、その質問には答えずに、私が日々特に意識していることを書いてみます。

製品BDとポートフォリオ

私は製品BDグループに所属しているのですが、担当するそれぞれの製品によってやるべきことは大きく違います。数字は適当ですが、年間100億のビジネスをキープする製品BDもいれば、新し目のものを0から立ち上げるBDもいます。それぞれの製品のステータスを見極めることも重要ですし、それによってBDに求められる振る舞いも、そして求められる個性も違ってきます。

一方、基本的に数字をやってこいといわれる営業であれば、そんなポートフォリオはもしかしたらそれほど意識する必要ないかもしれません。要は数字が達成すればいいので、顧客にあわせて価値のあるもの、やりやすいものをチョイスすればいいのですから。(いや本当はだめなんだろうけど)

マネジメントになるとそれだけではだめです。少し長期的な観点で、いわゆるプロダクトポートフォリオを見ながら、ゴーイングコンサーン実現のための舵取りをする必要があります。

ja.wikipedia.org

昔、私はビッグデータHadoop)製品を担当していたのですが、とある営業に「数字だけだったら主力製品だけでいくんだけど、ビッグデータ製品を売らないと、新しいビジネスの種をまいていない、楽して数字あげてるだけだ、と役員からいわれて評価されない、から手伝って」といわれたことがありました。こういう視点てすごく重要だと思います。

イノベータ理論

そういうわけで、個別製品(技術)のBDを担当している私がいつも気にしているのは、イノベータ理論です。いわゆる、イノベーターとかアーリーアダプターとか、キャズムとかの話です。このあたりは下記本がバイブルなので、一度ムーアの世界にどっぷりハマってみるのもおもしろいと思います。

キャズム

キャズム

 

イベントで話すときや、お客様と対峙するときは、この内容を結構意識しています。そしてそれによって話す内容やポイントを変えるように意識しています。重要なのは、今話ている製品(技術)はどのフェーズにあって、目の前のこの方はどこに所属される人なのか、だと思います。それがはまればはまるし、はずすと、何いってんだこいつ、って感じになります。その見極めを楽しみながら、ギリギリのところを見つけだすのは結構楽しいです。

Hadoop製品担当時代

Hadoop製品担当時代に、Asakusa Frameworkと協業し、Asakusa Framework Dayというイベントで講演させていただきました。

もう3年前になります。そのときの資料を今日ふと思い出しましたのですが、まだSlideshareにありました。

www.slideshare.net

このP24。

いきなり「安心感」という言葉が出てくるのですが、もう時効だと思うのですが、実は当日のプレゼンには前に1枚入っています。

当時、とあるHadoopベンダーのレポートで「Hadoopの普及率が22%、すでに普及した技術となっている」とレポートしていたことにふれ、「ここにいる皆様はそんな実感ありますか?」「22%、つまりキャズムを超えていると思いますか」と会場の皆さんに問いかけをしました。「僕からすると”少なくとも日本ではまだキャズムを超えていない”感覚。だとするならば、今キャズムを超えるために必要なのは、”安心感”を市場に対してお伝えすべきではないか」「その安心感をみんなで伝えていかないとこの技術は普及しないのではないか」「その安心感とは、”すでにみんなやってる安心感”、”やれば成果が出る安心感”、”私にもできる安心感”ではないか」といったお話をさせていただきました。

今は状況は大きく違うと思うのですが、このときは話ながら、聞いていてくださった方々が、大きくうなずいてくれたことははっきりと覚えています。

重要なのはアーリーアダプター

最近はブロックチェーンに関わっています。ブロックチェーンはイノベーターから、アーリーアダプターのあたりでしょうか。

最近特に思うのは、この「アーリーアダプター」がかなり重要で、だけどめちゃくちゃおもしろいフェーズだなと思っています。

tech-camp.in例えばこれを見るとこう書いてあります。

流行に敏感で常に情報収集をしており、ビジョナリー(先見の明がある人)とも言われます。

イノベーターとの違いは、社会との価値観のずれにも敏感であるところです。サービス導入による利益も冷静に判断し、購入を決めていきます。

またアーリーアダプターオピニオンリーダーとも呼ばれます。イノベーターよりも社会とのつながりをもち、その口コミは他の消費層へ大きな影響をもたらします。

 

 つまり、新しいものにアンテナはるが、ちゃんと目利きをしていて、その割に影響度大、というめちゃくちゃ厄介な人たちです。新しいものに飛びつくわけでもないし、流行に流されるわけでもない、自分なりの軸で目利きをして、納得できれば一気にいくような通な人たちです。

これは対峙するのは、結構つらい。なぜなら、新しいものをかなりロジカルに説得しないといけないから。その割にユースケースの先進性も求めてくるので、それに答えないといけません。何が今までと違って新しいのか、なぜそれをやるのか、それのメリットは何か、なぜ今までと同じじゃだめなのか、それはできるのか、本当に儲かるのか。

 

でもだからこそ、それを一生懸命考えるところがおもしろいところですし、それで合意がとれて、前に一緒に進むことになると、本当におもしろいわけです。

そして何より、ここを打破していかないと、この技術はここで終わってしまうという、何か危機感というか、使命感もあるのです。これは競合や企業とかいう垣根を超えて、とある技術の志をともにする仲間との共同作業にすら見えるのです。これが楽しい。それを共有できる仲間と出会え、その瞬間をともにすることが奇跡のようで楽しい。

まとめ

冒頭に書いた、製品Business Development(BD)というロールは何をする職種ですか?という質問への解なのですが、きっとこういうことを考えて考えて考えて、それにあったメッセージをみなさんにお伝えする仕事なんじゃないかなと思います。

そして単に売上を上げるとか競合に勝つとかだけでなく(それももちろん重要だけど)、その先を超えて、その製品や技術をしっかり、イノベーターを超えて、キャズムを超えて、ラガードまでいって、伝説の製品、技術にまで届けてあげる、道標を作ってあげる職種なんじゃないかなと思います。

よりよい世界を作ることへの技術の貢献度が高まる今、その役目はとっても大事だと思います。

 

まだまだ書きたいことは山程あるけど、それはまた今度。別の機会に。

 

おことわり

本ブログで述べられている意見は、私自身の意見であり、所属する団体、企業の見解を反映したものではありません。