英国エリートコミュニティの流儀
今日、外出が近かったこともあり、このイベントに参加してきました。Thursday Gatheringに参加するのは2回目。本当に刺激的なコミュニティイベントだと思います。
参加してきたのは「英国から学ぶコミュニティ・ディベロップメントの流儀/ Secrets of successful community development - Learning from English society」。これが非常におもしろかったので、ちょっと議事録をメモっておきます。
thursdaygathering-20190228.peatix.com
コーヒータイムのコミュニケーション
HQがサンフランシスコということもあり、またグローバルテリトリも違うので、それほどイギリス人とコミュニケーションすることはありません。強いて言うならば、グローバルの同じ製品のBDとのミーティングぐらい。ただ、英語は聞き取りずらいし、早口だし、恰幅いい紳士というイメージしかありません。でも、困ったときは本当にいろいろ助けてもらってました。
一個だけ思い出があります。昔、EMEA、APAC合同のクローズなカンファレンスイベントがドバイで実施されて、参加してきました。大体そういう海外のカンファレンスって、朝食のコーヒータイムがあったり、午後もコーヒータイムがあって、情報交換をする時間というものが設定されます。日本人の苦手な、あれ、です。
お客様と参加したこともあり、ちょっとしたベランダのようなところで森を見ながらお客様と会話をしていた時でした。スラーッと長身でスーツを来たUKの開発メンバーが私達に、コーヒーカップを両手に持ちながらやってきて、「やあ君たち、いい天気だね。ところで君たちはどこからきたのかい?」と声をかけてきたのです。
その出で立ち、そのセリフ、その会話の入り方、まるで漫画かドラマに出てくるベタなシーンかよ、と思い、さすがUKは紳士の国、レベルが違うな、と思ったのです。
本日のセッションメモ
そんなこと、どうでもよくて、、本日の内容としては、官僚かつNPO代表を務める桜庭大輔氏が、英国留学中に学んだ経験から、日英の比較、ジェントルマンズクラブを中心に展開する英国エリートコミュニティの実態やイノベーションにおいて果たしてきた社会的な意義に関する考察をお話し、若松 悠夏氏や小村 隆祐氏とのパネル形式で議論実施となりました。
以下、本日のセッションメモです。
コミュニティとは
メンバーが帰属意識を持ち、お互いに影響を与えあっている感覚があり、メンバーのニーズはメンバーの共存煮コミットすることで満たされるという確信がメンバー間に共有されている感覚(Sense of Community,マクミラン&チャビス)
ジェントルメンズクラブ
- 紹介者からもしくは招待者のみ、承認制
- 既存のメンバーにとってメリットがあるかが判断
- 中に行かないと得られないものがある
- 個人のレピュテーション(個人のそのクラブ内での価値)下げないために紹介する側も必死
- クラブのマーケット(そのクラブの市場価値)
- 基本的には晩餐会
- 席替えが4回ある
- 一定時間の固定席と、程よい席替えによるシャッフル
- 長机による強制的会話の醸成
ジェントルメンズクラブの中の価値
クラブ内の個人の価値
- カネ:「金」が価値
- コネ:「信頼」が価値
- チエ:「新規性、面白さ」が価値
つまり自分のもっていないものをもっているかどうか
自分のもっていない価値を相手が補える、補完関係をお互いに構築できるかどうかが価値判断
日本人は共感が好き
- 日本人は補完関係ではなく、共感できるかどうか
- 共感だけではイノベーションは起きない、同じものをもっていても仕方ない
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腹を割った懇親か、教養のある共感か?日本人はお互い恥ずかしいところが共有できると安心する、だから腹をわった懇親会をする
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イギリス人は知的でウイットであることが補完、共感につながる、教養が必要
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ジェントルメンズクラブは会話が重要、会話に特化した空間があり、それにあう教養が求められる
カタリストの存在
- カネ、コネ、チエを補完を促進するカタリストが存在する
- 非常に重要な役割
日英のコミュニティの違いはなぜおきるのか?
- エンジン
日本:共感・同質か
英国:好奇・補完か - チエとコネの必要性
英国は死活問題 - 人を信頼するポイント
日本:腹をわった懇親
英国:教養があるかどうか - ハードとソフトのレン同棲
日本:エンタメ、ハード、見た目、環境中心
英国:会話中心 - ベース
エリート教養があるかどうか
機密性によって深さがます
- オープンな場所では重要なことは話されない
- 表面的な内容か、ケースバイケース、バランスといった言葉のごまかしで終わる
- 会話の中でウィットな会話をしているかどうかで、どこまでこの人と秘匿性の話ができるかジャッジされている
イギリスの本質
- エリート教育
- チラ見せをする、全部は見せないことで価値を上げる
-
会話の内容はひろがっても、誰が話したかは秘匿性
「ここでこんな話がされていた」→行っとけばもっといい話しが聞けたかもしれないというクラブのブランドアップ
日本のベンチャーコミュニティをデベロップするには
- 規模とクオリティを保つ工夫が必要
- 英国の回答
1.エリート教育
2.コミュニティ間の競争、カタリストの競争
3.セミクローズドな運営
意識しておくこと
- 知が知を呼ぶ
- 全員がカタリスト:いい紹介をする人になる
あの人をあの人に紹介したいと一人ひとりが思えばもっとイノベーションを産む
規模とクオリティの両立って難しい
最近、「コミュニティが大きくなると品質が下がる」「結果、同じことを繰り返す」「その環境の中での自分の立ち位置を変えないと成長しなくなる」と思うことが立て続けに起きたので、コミュニティを作ること、というよりコミュニティをサスティナブルに継続させることのヒントを受けたような気がします。
テストして受かった人しか入れないコミュニティが果たしていいのかという気持ちもあるのも事実。だけど、その中途半端なオープンがクオリティを下げてコミュニティを破滅させるのかなとか考えるきっかけとなりました。
みんなが知を持つように、自分も知を精進。そういう意味では、ジェントルマンズクラブという無知の知を知れた機会でした。