ゴミ拾いの価値は何か
最近立て続けに「ゴミを拾うこと」について考えさせられる動画やニュースを見たのでまとめてみました。
1.プラスティックゴミが「通貨」に変わる取り組み
画期的なのはその回収の仕組みで、回収されたプラスチックを現金ではなく一種の仮想通貨で買い取るとともに、その仮想通貨を使って食料や水、日用品などを購入できる仕組みをつくり上げたのです。
既にいくつかの途上国で取り組みが開始され、現地の回収員が日々たくさんのプラスチック廃棄ごみを回収して、生活の糧を得ています。廃棄プラスチックを再利用するエコシステムを構築したことにより、プラスチックバンクは海洋汚染と貧困層の救済の2つの問題解決に活路を見出したのです。
拾ったゴミが仮想通貨となってそのお金で買い物ができるそうです。
2.今、ゴミ拾いがクール! #Trashtag チャレンジ
#Trashtag (Trash=ゴミ)チャレンジ。Instagramではやっているそうです。
ゴミ拾いをする前と後を比べる写真をタグをつけてSNSに投稿する運動だそうです。
3.渋谷の「ゴミ拾い侍」
劇団員が実施しているそうで、日曜の午後、渋谷に現れるそうです。
4.中国(?)の光景
たまたまTwitterでみつけました
https://twitter.com/GY18164253/status/1106738870060756992
https://twitter.com/GY18164253/status/1106738870060756992
— G. Y (@GY18164253) March 16, 2019
ゴミを拾う「価値」ってなんだろうね
ゴミを拾う「価値」ってなんだろうね。って思うわけです。
正確には1番最初の取り組みは「ゴミ」ではありません。「資産」拾いです。「ゴミ」ならば、プラスティック以外も対象としなければならないので。再利用できるプラスティックだけを買い取るので、いわゆる空き缶の鉄買い取りと同じ、”資源ゴミ”の回収ですね。
それはおいといて、「ゴミを拾ったらお金をあげるよ」といったら拾いますか?いくらだったらやりますか?
そう聞かれると、みなさん思うとおり、1−3は背景が大きく違います。1の拾っている人たちのモチベーションは、生活のためのお金がほしいです。一方、2,3は「善意」がモチベーションになっています。ここは大きく違います。同じ「行い」でもそのモチベーションが全然違います。
楽天レシピとクックパッド
ちょっと前にみたこのブログ、これもおもしろいです。
komugi.jp楽天レシピはレシピを公開することで楽天ポイントが貰える。その仕組がゆえの、ソーヤー効果の弊害について述べています。
報酬が金銭的インセンティブに変わると、「たのしみ」でしていた作業は「報酬をもらうため」という別の動機づけに置き換えられてしまい、とたんに「たのしくなくなる」のです。
おもしろいなあと思うのは、クックパッドのここがいい、といっているわけではないのです。この楽天レシピの、ユーザーのことを考えて仕組をつくったがゆえに、勝てないといっているのです。(ちょっと昔のブログだけど、最近はどうなんですかね)
イチローと国民栄誉賞
この話は、行動経済学ではよく言われる話で、いわゆる「アンダーマイング効果」といわれます。そしてよく言われる例は、今日日本凱旋した、イチロー。そのイチローが国民栄誉賞を2度も辞退したのは、自分のモチベーションを保つため、といわれています。
価値は人それぞれ、背景もそれぞれ
きっと、「行い」に対する価値観は人それぞれ、その背景も人それぞれ、だと思うのです。ただそれをよく考えずに一律なものを設計してしまうと、思わぬ弊害が出ることもあります。
例えばゴミ拾いをしたらお金をあげる、その制度を作ったら、もはや、誰も見ていないところでゴミを拾う人はいなくなるかもしれません。もしくはお金を稼ぐためにゴミを捨てる人がさらに増えるかもしれません。その結果、誰が一番得するのだろう。
一方で、後進国のようなゴミと貧困が目下の課題として存在するような環境では、そのような制度も効くのかもしれません。永続的ではないにせよ、一時的には効果がありそうです。
ここらへんのモデル設計は非常に難しいです。
ちなみにAIによるダイナミプライシングが普及する今、行為だけでなく、モノの価値すら人によって異なります。同じチケットでも1000円で買う人もいれば、2000円出す人もいる。すこぶる当たり前といえば当たり前ですが、今まで以上に「価値」を個人が意識する必要があります。
ここらへんはちょっと前の「人間ってナンだ?」のシーズン2 #6で触れられていました。
まとめ
なんでこんなことを書いたかというと2つあります。
1つ目はボランティアでやっている、中高生のビジネスモデルアプリコンテストの、ビジネスモデルのメンターをやっているのですが、中学生がもってきたビジネスモデルがこの課題に親しいビジネスモデルをもってきているのです。非常におもしろいのですが、考えれば考える程、深いなあと思います。
2つ目は特にブロックチェーンに関わるようになってこういうビジネスモデル設計を考えることが増えました。というか毎日考えています。これが仕事みたいに。
ということで、ね、ブロックチェーン、おもしろそうでしょ。
是非イベント来てみてください。一緒にやろう。
oracle-code-tokyo-dev.connpass.com